Category Archives: Global Warming

Changes in Temperature and CO2 in the Atmosphere at Various Latitudes

M. Nishioka Curr Res Env Sci Eco Letters 1(1), 01-09, 2024    Figure 1. (a) Temperature change (℃) in the tropics (20 S-20 N, red), north latitude (20 N-90 N, green), and south latitude (20 S-90 S, purple) between 1984 and 2011 … Continue reading

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El Niñoで燃焼排ガスの半分に相当するCO2が放出する

-    温度変化、CO2変化速度、およびEl Niño現象 1979年から人工衛星による地球の温度の観測が始まった。観測、解析しているのは、UAH(The University of Alabama in Huntsville)とRSS(Remote Sensing Systems)の二つのグループである。図 1 には、UAHで測定されている対流圏下部の温度変化を示す。高度、約 3,000メートル付近の温度である。赤い実線は、その月の前後6ケ月を含んだ13カ月平均を示す。上下を繰り返しながら非常に緩やかに上昇している。各高度、および各地域を含めたオリジナルのデータはWeb上で毎月初めに入手可能である。 Fig.1 UAHによる人工衛星で観測した対流圏下層における温度(1) 下図は、年ごとのCO2の増加量を示したNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration)が発表している結果である(2)。NOAAのオリジナルのデータおよびグラフはWeb上で入手可能である。季節によりCO2濃度が大きく変化するので、前年の年間の平均値が示されている。季節によるCO2の変化は、夏の光合成による植物体によるCO2の吸収と、冬の光合成が不活発な時期の植物体の分解に依存している。分解残留物は、土壌中に溜まっていく。前回のIPCCの炭素サイクルの図で示したように、表面の植物体と合わせると炭素換算量で1950-3050 GtCである。化石燃料の埋蔵量446-541 GtCより遥かに多い量である。これらの有機炭素が分解し、温度が上昇すると分解量も多くなるのである。温度上昇で発生するCO2の量は莫大である。これまで何度も述べて来たように、CO2濃度の変化速度は温度変化と良く対応している。下図で示されているNOAAのCO2の年間の変化量(ppm/year)は言わば一年ごとの変化速度である。 Fig.2 NOAAの報告によるCO2の年間の変化速度(ppm/year)(2) 温度変化とCO2の変化速度には良い相関あることは、上記の二つのデータを比較すると良くわかる。また温度変化はEl Niño現象と良い相関があることがわかっている。そこでEl Niño指数(3)を使って調べるてみると、これらの三つのデータに良い相関があることがわかる。下図にその相関を示す。なお、6/15/1991のMt.Pinatuboの噴火の時、15か月にわたり 0.6 ℃ 温度が下がっている。従って、この時期の相関は良くない(4)。 Fig.3 1979-2022年の間の衛星による温度測定値(対流圏3,000m、13カ月平均anomaly、℃)、NOAAによるCO2増減観測値(ppm/year)、およびEl Niño 指数との相関 CO2濃度は1959年から2022年まで平均1.60 ppm/year(= 3.42 GtC/year)の変化速度であった(単位の換算については前回を参照)。数年おきに起きるCO2増加の変化は、El Niño指数で示すようにEl … Continue reading

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温暖化している時はCO2濃度を下げられない

- 全化石燃料の燃焼を止めても 夏は食べ物が腐りやすい。温度が上がれば腐る速度は速くなる。CO2を出しながら分解しているが、微生物による生物プロセスなので時間がかかる。雨の多い日本は緑に溢れる。多くの植物体は毎年新しい新芽にとって代わる。木々は100年以上生きるものもある。極端な例が、屋久島の万代杉で樹齢3000年である。しかし、いずれ死に絶える。古い植物体は土の中に埋まったり、地表に折り重なったりする。最後は、CO2を出しながら分解して次の世代にとって代わる。見た目には変わらない緑だが、年々世代交代をしている。この世代交代による、地球上から放出されるCO2は莫大な量である。燃焼排ガスと違って目立たないだけである。夏や熱帯地方では植物の分解によるCO2の発生量はより多い。 Fig.1 横山展望台から眺めた緑で覆われる英虞湾 (5/17/2023、筆者) 下図は、IPCCの報告書(AR5-Chap.6-Fig.6.1)からの地球の炭素サイクルの概略である。植物体の分解量は合成量に追いつけず少しずつ溜まっていく。これらの残留物は、図中でSoil中の炭素換算量として1,500-2,400 GtCと記されている。化石燃料よりも遥かに多い量である。表面のVegetation 450-650 GtC と合わせると非常に多い。これらの有機炭素が分解するわけで、温度が上昇すると分解量も多くなる。だから、温度上昇で発生するCO2の量は莫大である。 Fig.2 地球の炭素サイクル量(単位: GtC/year)。 工業化以前は、黒い数字と矢印で、2000 年から 2009 年の間の平均値を赤い矢印と数字で示す。(AR5-Chap.6-Fig.6.1)(オリジナルの図にリンクすると拡大して見ることができる、赤い矢印と数字は 人為的な起源とみなされる-筆者) 上記のIPCCの図は、この分解プロセスをrespiration and fire 118.7 GtC と示している。fossil fuelの燃焼等の人為的な排出量の総計8.9 GtC より遥かに多い量である。不幸にも、炭素サイクルに基づいたIPCCの解析は有機炭素の分解プロセスあるいは土壌呼吸(→土壌呼吸とCO2)の温度依存性を考慮していない。致命的な問題である。地球が温暖化している過程では、温度上昇で有機炭素が分解して発生するCO2の増加量は、人為的な燃焼排出ガスからのCO2を凌駕する量である。そして、例え化石燃料の燃焼をゼロにできたとしても、多くの場合CO2濃度を下げることはできない。以下、このことをHermann Hardeの論文(1)を基に定量的に考察していく。 燃料の燃焼などによるCO2排出量は下の図4のように報告されている。2012年の時のCO2排出量は約28.6 billion tでIPCCによる上の図2の7.8 GtCに相当する。 ca. 28.6 billion t CO2 –> 7.8 … Continue reading

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産業革命以前も変動していたCO2

前にも述べたように、IPCCが主張する“CO2が増加すると温度が上がる”というのは証拠のない仮説である(→温暖化の科学の出発点)。気候と CO2 を結び付ける IPCC のアプローチの問題点は、産業革命以前、大気中の CO2 濃度は約 280 ppm でほぼ一定であったと仮定していることにある。この仮定に基づいてCO2に関しても、温度変化に類似のCO2版の“Hockey Stick”曲線がIPCCにより提唱された。下図は2007年の報告書からである。温度の“Hockey Stick”曲線は、2007年の報告書で取り下げられたが、2021年の報告書で再び戻ってきた(→Michael Mann の名誉棄損訴訟のゆくえ) (→戻ってきたホッケースティック曲線)。これら二つの“Hockey Stick”曲線がIPCCの仮定の出発点になっている。 Fig.1 IPCCにより提唱されたCO2の“Hockey Stick”曲線 アメリカでは1930年代に何度か熱波が観測されている。1934年は、アメリカでは近年で最も暑い年の一つであった(→気候はいつも変動してきたのでは…?)。後に示すが、1930-40年は世界的にも暖かい期間だった。この温度変化に呼応したCO2の変化が上図の“Hockey Stick”曲線には見られない。しかし、過去のCO2の直接分析結果によると、実際には1930-40年にCO2の大きな変化があったことがわかる。CO2 が気温の変化に伴ってかなり変化していたのである。ここでは二つのの論文(1,2)を基に過去のCO2変化について整理していく。 IPCCの気候とCO2についての仮定は、Callendar と Keeling による大気中の CO2 濃度に関する1800 年から 1961 年の間の380 を超える文献のレビューに基づいている。Keelingと IPCC はこれらの論文を詳細に検討しなかった。むしろ、彼らはこれらの技術の信用性を傷つけたとも言える。入手可能な文献の約 10% しか調べていないのである。そして、ほとんどに欠陥があるか不正確であるとして、彼らは受け入れを拒否したのである。 1857 年から 1958 年の間、大気中のCO2を測定する方法は、Pettenkofer法が標準的な分析法だった。誤差は … Continue reading

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土壌呼吸とCO2

光合成でCO2から有機化合物が合成され、合成された有機化合物は最終的には分解してCO2へ戻る。この分解のプロセスは主に地下で進むために土壌呼吸(Rs: Soil Respiration)とも呼ばれる。土壌呼吸は、独立栄養プロセス(autotroph)と従属栄養プロセス(heterotroph)からなり、土壌から大気へ CO2 を排出する(1)。下図の緑の部分は光合成を示し、赤い部分が土壌呼吸である。主要な従属栄養プロセスは、微生物の生物学的プロセスで、地球上の最大の炭素サイクルプロセスである(2)。世界の土壌呼吸による1年あたりの CO2 排出速度は、約 70 GtC/yearと推定され、気温および降水量と正の相関がある(3)。因みにIPCCは60 GtC/yearと推定している(→温暖化の科学の出発点)。 Rs = Rheterotroph + Rautotroph                                                    … Continue reading

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時間のずれのある温度とCO2の相関関係

以前示したように(→温度とCO2 変化の時間差について)、温度とCO2はCO2 の変化が常に気温の変化に 11 ~ 12 ヶ月遅れて変化することが確認された。そこで時間のずれのある温度とCO2の相関関係について、その時引用した論文をもとにもう一度整理しておきたい。論文は以下である。 Ole Humlum, Kjell Stordahl, Jan-Erik Solheim Global and Planetary Change 51, 100, 2013 2変数X,Yに相関関係があるかどうかを調べるには次式で定義される相関係数が使われる。 (1) ここでとは平均値である。相関係数が1に近いほど相関関係が強く、-1に近いほど弱いことを示す。マイクロソフトのExcelには相関係数の計算式Correlが組み込まれている。詳細はCORREL function – Microsoft Supportを参照されたい。時間のずれのある2変数の相関関係の模式図は下図のように表される。Inputを温度OutputをCO2で置き換えて考えることができる。 Fig.1 時間のずれのある2変数の相関関係(instrumentationtools.com) 論文では、1980 年 1 月から 2011 年 12 月までの期間の CO2 と温度との位相関係を調べている。ここでは以下のデータ例を示す。 全球的に平均化されたよく混合された海洋境界層 CO2 Global monthly … Continue reading

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蓄熱体としての大気

地球に入射する太陽エネルギーの30%は成層圏で反射する。20%は地表に達し入射光より波長の長い赤外線として反射する。15%が赤外活性物質に吸収され、5%はそのまま宇宙へ逃げて行く。大気中の赤外活性物質の大部分は水である。CO2はわずか400ppmに過ぎない。残り50%は大気に吸収されたり、大気の分子運動を変化させるのに使われる。多くは水の蒸発などの相変化、対流、熱伝導に消費され地球の温暖化に供しているが文献での明確な記述はない。 気温は大気の分子運動を表す物理量で、大気が獲得したエネルギーとして蓄熱する。従って、窒素、酸素は温室効果はないが、太陽エネルギーを地球の熱としてある一定時間保持する。H2O,CO2の温室効果ガスのみでは熱を蓄えることができない。窒素、酸素が必要なのである。以下このテーマを整理するために、大気に関する必要な物理化学の整理をしておく。簡潔にするために、必要な式は結果のみである。式の導き方はリンクしたウィキペディアなどでたどることができる。 1.運動エネルギー 地球温暖化について考えることは大気の温度を調べることである。それでは、大気の温度は何かというと、大気を構成するガス分子の運動エネルギーである。この場合の運動エネルギーは大気を構成するガス分子の併進エネルギーである。大気中のCO2による赤外線の吸収エネルギーは、気温を決める分子の併進エネルギーに比べるとはるかに小さい。気体の温度と運動エネルギーとの関係は、気体の状態方程式と分子運動論から次式のようになる。 kT= 3/2・mv2                                            (1) (k=ボルツマン定数、T=温度、m=分子の質量、v=分子の速度) 2.ウィーンの変位則 黒体からの輻射のピークの波長が温度に反比例するという法則である。 (b = 2.8977729×10^−3 K·m)                (2) Fig.1 CO2は15µmの赤外線を吸収する。これは(2)式から-80℃の温度に相当する。 3.ステファン・ボルツマンの法則 熱輻射により黒体から放出される電磁波のエネルギーと温度の関係を表した物理法則である。 j* = σT4                     (3) 4.太陽定数 太陽定数Gscとは、地球の大気表面の単位面積に垂直に入射する太陽のエネルギー量のことである。太陽定数は、下図で示すように周期的に変化することがわかっている。 (4) R = 太陽の半径 (6.96 x 10^8 m) D … Continue reading

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青森県六ケ所村

青森県の下北半島の付け根に六ヶ所村がある。先月(5/23/2023)、六ヶ所村にある原燃PRセンターを訪れた。比較的大きな村だがアクセスは不便である。青森県内の旧東北本線は第三セクターの青い森鉄道へ移管されている。そのため東北新幹線で八戸に降り立ち青い森鉄道に乗り換える必要がある。さらに野辺地で降りて一日数本しかないバスで一時間半かけて行った。野辺地市内で数人バスに乗ったがしばらくして降りたので、かなりの間私ひとりであった。 Fig.1 六ケ所村の原燃PRセンター周辺、エネルギー関連の施設が軒を並べる やがて公園、体育館、郷土館の集まったところに降り立った。その公園の前に原燃PRセンターがある。 Fig.2 六ヶ所村の公園コンプレックス、後ろに風力発電の施設が見える 六ヶ所村には、原子力発電所からの放射性廃棄物と使用済み燃料を処理することを目的に設立された電力各社が株主の日本原燃(株)がある。従業員は3,000人なので村としては非常に大きな組織である。この立派な公園を見ていると法人税、助成金で整備されているのだろうなと思う。原燃PRセンターは、原燃が扱う放射性物質処理の衆知を目的にしているようである。誰でも自由にアクセスできるが、予約しておくと一人でもガイドをつけてくれる。私に説明してくれたガイド嬢は、遠く三沢から一時間かけて通勤しているということだった。 原燃PRセンターの回りはさえぎるものがないので、中央にある窓から景色を良く見ることができる。南西地区には石油備蓄センターがあり海岸部からパイプラインで運ばれるようになっている。あちこちにソーラーパネル、風力発電の建造物がある。バスからも多くを見ることができる。 Fig.3 原燃PRセンター 原燃PRセンターでは、二点焦点をあてて紹介されている。ひとつは、高レベル放射性廃棄物貯蔵施設で、再処理工場でガラス固化体にされた高レベル放射性廃棄物を、最終処分に向けて30〜50年間冷却・貯蔵する施設である。つぎに、MOX燃料(混合酸化物燃料の略称)の製造で、原子炉の使用済み核燃料に含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4-9%に高めた核燃料である。主として高速増殖炉の燃料に用いられるが、既存の軽水炉用燃料ペレットと同一の形状に加工し、適切な核設計を行ったうえで適切な位置に配置することにより、軽水炉のウラン燃料の代替として用いることができる。これをプルサーマル(和製英語で国際的には通用しない)利用と呼ぶ (Wikipedia)。 ガイドの説明を聞いていると、あたかも全てが確立されたプロセスのように聞こえるが実際は違う。原燃の再処理工場は、様々なトラブルや安全審査の遅れなどで、完成予定が何度も延期されている。当初は1997年の完成予定だったのが、現在は2024年度上期となっている。総事業費も14兆4400億円に膨らんでいる。安全性や経済性には多くの課題があるのか、2000年以降プルサーマルを実施したのは伊方発電所3号機や玄海発電所3号機など4基のみとなっている。 一方、高速増殖炉の「もんじゅ」は1983年に建設が始まった。1995年、2010年に事故が起きて本格運転をすることもなく2016年に廃炉が決まっている。福島第一発電所の事故で原子力利用は可能な限り最小限にするはずであったが、ウクライナのロシアによる侵攻でエネルギー価格が上昇したこと、CO2排出量の削減の取り組みなどで、いつのまにか風向きが変わっている。再び原子力利用の声がかかり始めている。しかし、以上述べたように使用済み核燃料の廃棄処理、再利用のプロセスは確立されていないのである。 Fig.4 原燃PRセンターの地下にある模擬装置 青森県六ヶ所村には富ノ沢遺跡や大石平遺跡など、100ヶ所以上の縄文遺跡群がある。遺跡群地図で一部を確認できるがその数には驚くばかりである。そのうち、富ノ沢遺跡は、約500軒から成る県内でも最大級の集落跡で、青森市の三内丸山遺跡と同時期の4700年前から4000年前にかけて存在したと考えられている。縄文時代前期は現代より暖かく、縄文海進で遺跡群の近くに太平洋の浜辺があったようである。村立郷土館によると、村内の遺跡の大半は1970年代の「むつ小川原開発」に伴う発掘調査で見つかった。しかし、核燃料関連施設や道路整備が優先されて遺跡は調査後に取り壊されたので、ほとんど残っていない。それで、世界遺産の構成対象にはなっていない。 Fig.5 六ケ所村郷土館 以上、わざわざ六ケ所村を取り上げたのは、六ケ所村周辺が温暖化の問題に間接的に関係しているからである。CO2を排出しないための原子力エネルギーの利用は、再生処理設備が完成し、定常な運転が確立されない限り将来に悔恨を残すことになる。縄文時代は現代の温暖期よりもさらに暖かだった。皮肉にも六ケ所村には多くの遺跡が見つかっているが、多くが現代の土地開発の過程で保存されず壊されてしまったのである。

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温暖化の科学の出発点 2

- 温度とCO2との相関 「人為的なCO2排出が地球の温度を上昇させている」という仮説が現代の社会を動かしている。これとは違う考え方を述べることはなかなか困難で、声を上げたとしても一顧だにされない世の中である。科学的証拠のない「人為的なCO2排出説」を思うと、17世紀のガリレオがコペルニクスの地動説を彼が制作した望遠鏡の天体観察結果により支持しようとした時代を彷彿させる。 過去数十万の間、温度、CO2は周期的に変動してきたが科学的な解明はまだである(→ 気候変動に及ぼす主な自然変動)。縄文時代は今より暖かったらしい。しかし、それ以前のつい一万年前は氷河期であり海面レベルが低く日本列島も一部大陸と陸続きであったらしい。「人為的なCO2排出説」の疑似科学に基づいた社会行動を作り上げることは非常に危険である。 温暖化の熱は太陽から降り注がれる。また、問題視されているのがCO2である。そこで、前回は、科学的考察の出発点として太陽エネルギーとCO2(炭素)収支を調べた。炭素収支の95%が自然界のCO2であった。自然界のCO2は (1)光合成、(2)海への溶解、(3)動植物の分解という主要なサイクルからなるということを述べた。動物は食物連鎖により光合成でできた植物を食し、最終的には分解してCO2を発生する。そこで分解のプロセスには植物だけでなく動物を含むサイクルを考慮すべきである。これらのプロセスは温度依存性が大きいので、CO2の循環サイクルは温度の関数である。また、(1)エネルギー収支と(2)炭素収支の考察から人為的なCO2の温室効果は非常に小さいことが導かれた。 では自然界のCO2および人為的なCO2はどのように温度とかかわっているのだろうか。これが今回のテーマである。上記の主要な三つのプロセスを考えてみる。光合成の速度は、温度に加えて植物および周りの条件により変わりやすい。以下には、異なるCO2濃度における温度依存性の一例を示す。最適温度までは温度と共に光合成速度は上昇する。 Fig.1 光合成速度の温度変化(白丸が1000ppm、黒丸が370ppm(通常CO2濃度)、四角が200ppm。オオバコのデータ。測定は彦坂幸毅氏(東北大学)) 一般に気体の液体への溶解度は高温ほど減少する。CO2の水への溶解度は、下図に示すような温度依存症がある。 Fig.2 CO2の水への溶解度の温度変化 植物の分解は微生物による分解であってさまざまな因子が関係してくる。その中で温度の影響は大きく一般に次式のアレニウスの関係で表される(Ref.)。 rco2 = Ai x exp(-Eai/RT)                                    (1) ここで、rco2はCO2変化速度、Aiは定数、Eaiは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度である。模式的には下図のように示される(Ref.)。温度が10℃上昇した時に分解速度が二倍または三倍になる時の傾向である。 Fig.3 植物の分解速度の温度変化 (10℃の上昇で速度が二倍、三倍になる時の模式図) 地球の平均温度は約15℃で、この150年の変化幅は±1℃である。自然界のCO2は温度依存性の (1)光合成、(2)海への溶解、(3)動植物の分解という主要なサイクルからなるが、上記で示したように15±1℃の狭い温度範囲では、CO2は直線的に変化するものと近似できる。従って、CO2濃度rco2の変化速度は以下のようになる。 CO2濃度変化速度 ∝ 光合成速度 + 海への溶解度変化 + 生物分解速度   (2) ≒ f(T ) (温度の関数)      … Continue reading

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温暖化の科学の出発点

- 太陽エネルギーと炭素バランス 温暖化または気候変動は最近の主要な話題のひとつで、メディアを通して ”気候変動”という語彙を聞かない日がない。しかし、その基本的な科学は明確ではない。例えば、国連の下部組織であるIPCC は400 ppm のCO2が地球の温度を上昇させていると言うがどこにも科学的な証拠は示されていない。また、1.5℃の温度上昇が深刻な気候変動を起こすと警告するが統計的な科学的証拠はない。 IPCCは数年に一度報告書を出している。その主張の根拠となるのは、科学的証拠がないので気候モデルとシミュレーションだけである。アメリカの投資家ウォーレン・バフェットの言葉に「散髪が必要かどうかは床屋に聞くな」というのがある。特定のターゲットに投資すべきかどうかは自分で決めろという。気候変動の問題も、科学的証拠がないのだから、「気候変動がCO2が原因で起きているのかどうかかはIPCCに聞くな」である。IPCCの主張に拘わらず、自分で科学的根拠に基づいて判断しなければならない。しかし、大気を中心にした地球科学は広範囲の学際的領域にわたるため、専門家にとっても一筋縄で行くものではない。IPCCの設立以来、「人為的なCO2排出が地球の温度を上昇させている」という結論ありきで進んで来たようである。IPCCの主張はさておいて、では科学的に考える出発点はどこなのだろうか。 ノーベル賞物理学者のファインマンは言っている。「理論がどれほど美しいとか、その人が頭が良いかは問題ではない。主張がデータと一致しない場合、それは間違っているだけである。」これは、人為的な地球温暖化の理論にも当てはまる。温暖化の基本的な科学はまだまだ明確ではないけれども、これまでこのブログで少し触れて来たように、以下のようないくつかのデータがある。IPCCの理論がこれらのデータと一致しなければその理論は間違いということになる。 大気中のCO2濃度の経時変化と温度の経時変化はある程度呼応しているが、温度変化が10ヶ月先行している。氷床コアの分析による長期の変化では温度変化が約1000年先行している。→ CO2 変化より先行する温度変化 地球へ入射する太陽エネルギーの約20%が赤外線として地表から反射される。そのうち3/4 が大気中の赤外活性物質に吸収される。大気中の赤外活性物質の95%はH2Oである。H2Oの赤外線吸収量はCO2に比べるとはるかに大きい。→ CO2の温室効果は非常に小さい? 地球上の炭素バランスに基づくと、CO2 排出量の 95% は自然発生源によるもので、人為的なものはわずか 5% である。→ 大気中のCO2の放出、吸収の速度論 衛星観測によると、CO2 の濃度が最も高いのは、工業地帯ではなく、アマゾンなどの工業化されていない熱帯地域である。→ 大気中のCO2 濃度は温度で決まる CO2濃度は、人為的な排出量ではなく、短期的な温度変化とほぼ相関して量が決まってくる[R2 = 0.93]。→ 大気中のCO2 濃度は温度で決まる IPCC は、「産業革命以来、すべての CO2 濃度の増加が人間の活動によって引き起こされてきた。この増加したCO2は温室効果ガスであり、地球の温度を上げている。」と言う。しかし、この主張は上記の科学的事実を説明できない。従って、この主張は間違いである。最新のIPCCの報告書は、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と従来より踏み込んだ強い表現で断定した。いくら言葉を変えてもこれは疑似科学(pseudo-science)なのである。疑似科学に基づいた、画一的な価値観が”正義”であるかのように流布されているのである。脱炭素(カーボンニュートラル)、CCS (carbon capture and storage)など対応すべきフェイクストリーが作り上げられ疑似地球環境科学が形成されてきた。 国連の下部組織としての、数による疑似科学、政治的圧力の原因を考えることは大きなテーマである。ここではとりあえず、最初に地球上の太陽エネルギーと炭素バランスについて整理し、科学的側面から考察していく。 … Continue reading

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