Monthly Archives: July 2023

産業革命以前も変動していたCO2

前にも述べたように、IPCCが主張する“CO2が増加すると温度が上がる”というのは証拠のない仮説である(→温暖化の科学の出発点)。気候と CO2 を結び付ける IPCC のアプローチの問題点は、産業革命以前、大気中の CO2 濃度は約 280 ppm でほぼ一定であったと仮定していることにある。この仮定に基づいてCO2に関しても、温度変化に類似のCO2版の“Hockey Stick”曲線がIPCCにより提唱された。下図は2007年の報告書からである。温度の“Hockey Stick”曲線は、2007年の報告書で取り下げられたが、2021年の報告書で再び戻ってきた(→Michael Mann の名誉棄損訴訟のゆくえ) (→戻ってきたホッケースティック曲線)。これら二つの“Hockey Stick”曲線がIPCCの仮定の出発点になっている。 Fig.1 IPCCにより提唱されたCO2の“Hockey Stick”曲線 アメリカでは1930年代に何度か熱波が観測されている。1934年は、アメリカでは近年で最も暑い年の一つであった(→気候はいつも変動してきたのでは…?)。後に示すが、1930-40年は世界的にも暖かい期間だった。この温度変化に呼応したCO2の変化が上図の“Hockey Stick”曲線には見られない。しかし、過去のCO2の直接分析結果によると、実際には1930-40年にCO2の大きな変化があったことがわかる。CO2 が気温の変化に伴ってかなり変化していたのである。ここでは二つのの論文(1,2)を基に過去のCO2変化について整理していく。 IPCCの気候とCO2についての仮定は、Callendar と Keeling による大気中の CO2 濃度に関する1800 年から 1961 年の間の380 を超える文献のレビューに基づいている。Keelingと IPCC はこれらの論文を詳細に検討しなかった。むしろ、彼らはこれらの技術の信用性を傷つけたとも言える。入手可能な文献の約 10% しか調べていないのである。そして、ほとんどに欠陥があるか不正確であるとして、彼らは受け入れを拒否したのである。 1857 年から 1958 年の間、大気中のCO2を測定する方法は、Pettenkofer法が標準的な分析法だった。誤差は … Continue reading

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土壌呼吸とCO2

光合成でCO2から有機化合物が合成され、合成された有機化合物は最終的には分解してCO2へ戻る。この分解のプロセスは主に地下で進むために土壌呼吸(Rs: Soil Respiration)とも呼ばれる。土壌呼吸は、独立栄養プロセス(autotroph)と従属栄養プロセス(heterotroph)からなり、土壌から大気へ CO2 を排出する(1)。下図の緑の部分は光合成を示し、赤い部分が土壌呼吸である。主要な従属栄養プロセスは、微生物の生物学的プロセスで、地球上の最大の炭素サイクルプロセスである(2)。世界の土壌呼吸による1年あたりの CO2 排出速度は、約 70 GtC/yearと推定され、気温および降水量と正の相関がある(3)。因みにIPCCは60 GtC/yearと推定している(→温暖化の科学の出発点)。 Rs = Rheterotroph + Rautotroph                                                    … Continue reading

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時間のずれのある温度とCO2の相関関係

以前示したように(→温度とCO2 変化の時間差について)、温度とCO2はCO2 の変化が常に気温の変化に 11 ~ 12 ヶ月遅れて変化することが確認された。そこで時間のずれのある温度とCO2の相関関係について、その時引用した論文をもとにもう一度整理しておきたい。論文は以下である。 Ole Humlum, Kjell Stordahl, Jan-Erik Solheim Global and Planetary Change 51, 100, 2013 2変数X,Yに相関関係があるかどうかを調べるには次式で定義される相関係数が使われる。 (1) ここでとは平均値である。相関係数が1に近いほど相関関係が強く、-1に近いほど弱いことを示す。マイクロソフトのExcelには相関係数の計算式Correlが組み込まれている。詳細はCORREL function – Microsoft Supportを参照されたい。時間のずれのある2変数の相関関係の模式図は下図のように表される。Inputを温度OutputをCO2で置き換えて考えることができる。 Fig.1 時間のずれのある2変数の相関関係(instrumentationtools.com) 論文では、1980 年 1 月から 2011 年 12 月までの期間の CO2 と温度との位相関係を調べている。ここでは以下のデータ例を示す。 全球的に平均化されたよく混合された海洋境界層 CO2 Global monthly … Continue reading

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