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意味ある温度変化の表示とは?

190年前(1833年)関東、東海地方では大雪となったらしい(Ref.)。明治維新が157年前だからそれほど遠くない昔である。下図は、歌川広重の「東海道五十三次 / 蒲原夜之雪」でその年の作品である。蒲原は、駿河湾沿いのほとんど雪の降らない土地である。しかし、現代でも時折り関東、東海地方で2月頃南岸低気圧が通り過ぎるタイミングで、上空が相応に低温であれば雪が降る。「蒲原夜之雪」とあるので夜に低気圧が通り過ぎたのかもしれない。この地区では非常に珍しい雪景色だったのでこの浮世絵を描いたとも推測できる。   Fig.1 歌川広重:東海道五十三次 / 蒲原夜之雪 この年、1833年、は江戸時代の四大飢饉の一つ、天保の飢饉が始まった。飢饉は1837年まで続いた。主な原因は大雨による洪水や冷害による大凶作であった。天保の飢饉により、各地で百姓一揆が多発した。大坂でも米が不足し、1837年の大塩平八郎の乱につながった。1830年代は全般的に気温がやや低かったようである。14世紀半ばから19世紀半ばの間は比較的気温が低かった期間で小氷河期(little Ice Age)と呼ばれる。これら1833年の出来事は小氷河期の最後の出来事である。 1683年の冬はテムズ川が二か月間、約 30 ㎝凍り付いたという。テムズ川の凍結は小氷河期の代表的な出来事として良く挙げられる。全面凍結は非常にまれな出来事ではなく現代でも見られる現象である。因みに下の写真は1963年の出来事である。 Fig.2 凍り付いたテムズ川(1963年) オハイオの州都コロンバスの中央を Olentangy 川が流れる。冬には日中でも氷点下の日が一週間続くことが 1、2 度ある。そのような時はテムズ川ほどではないが、川が全面凍結する。 Fig.3 大部分は凍り付いているが、流れのある川の水面で羽を休めるCanadian Geese (2/24/2015)  グリーンランドと西にあるバフィン島に、1000年前後、バイキングなど北欧の人々が住みついた。そして、小氷河期が始まる1400年頃に村は捨てられた。下の写真は教会跡で、アイスランドで見つかった記録によると1408年9月に最後の結婚式がこの Hvalsey 教会で行われたとある。新郎はノルウェーからやってきた交易船の船長、新婦は地元の娘であった。1450~1500年頃には流氷が増えたこともあってグリーンランドと他の地域の連絡は全く途絶えてしまった。その後カップルはアイスランドへ移住したらしい。10世紀から14世紀にかけての温暖な時代は中世の温暖期(Medieval Warm Period)として知られている。 Fig.4 グリーンランド南部の Hvalsey 教会跡 この地はグリーンランドの南端に位置し、アイスランドより南にある。アイスランドの北端が北極圏で、首都のレイキャビクがアラスカのフェアバンクスと同緯度になる。内陸にあるフェアバンクスの冬の方が Hvalsey よりもはるかに厳冬である。厳冬のフェアバンクスでも1902年に始まったゴールドラッシュで人が住み着いたのである。   Fig.5 Hvalsey Church … Continue reading

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