気候変動に対する定量的な考えの必要性

気象庁によると、日本の気温上昇は世界の平均に比べて大きい。気温の上昇にともなって、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の夜)や猛暑日(1日の最高気温が35℃以上の日)が増え、冬日(1日の最低気温が0℃未満の日)は少なくなっている。しかし、日本の気候変化が必ずしも地球の気候変化を表しているわけではない。

日本の面積は378,000 km2 である。地球の表面積は510,100,000 km2なので、日本の面積は地球全体のわずか700 area ppm (0.07%) である。700 ppm といういわばにおける気候の変化で地球全体の気候を論じることは危険である。

日本の面積:           378,000 km2 (0.07%)
地球の表面積:     510,100,000 km2 (99.93%)

日本近海は太平洋の西の端に位置し、海流の通り道になっている。太平洋の10年規模振動(PDO: Pacific Decadal Oscillation)及びエルニーニョ現象、ラニーニャ現象(ENSO: El Niño-Southern Oscillation)の影響で海水温度、さらに地上温度が変わる。エルニーニョ、ラニーニャ現象では1,2年の短期間、PDOでは10年以上に及ぶ期間にわたり海水温が変化する。

また日本列島の上空を偏西風が流れている。その偏西風の蛇行の通路は変化していて気象を変える原因になる。以上、日本列島は地球の点である上に、気象的には特異な位置を占めている。

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Fig 1 大気の大規模な運動

サンゴ礁が北上しているとか、サメが海水浴場で多く目撃されたというのを海水温の上昇のせいだと言う。しかし、点で起きている事象で地球温暖化を論ずることは危険である。大雪の原因を、地球温暖化の影響で冬爆弾低気圧の発生が増加しているとも言えない。

温室効果ガスの大部分がH2Oであり、CO2はわずか約3.6%である。全CO2のうち人為的に排出されているCO2は約3%である。CO2は大気中に約400ppm存在するから、人為的に排出しているCO2はわずか1-2 ppm占めるのみである。

fig2
Fig.2

0.7℃/100年という温度上昇率が大きくて、危険なのかどうかは主観的な問題ではなくて、実際の自然変化に照らして実証的に判断すべきである。私が現在住んでいるシカゴは、気温は一年で-15℃から30℃まで変化する。一日で15℃変化することもある。明治維新から現在まで約1℃温度は上昇した。その間、大きな気候変動で破滅的な事態になったわけではない。

3000年前に栄えた4大文明の時代は、現代の温暖期より暖かだった。GISSによる温度変化のグラフを一日の温度変化のスケールで書くと下の右図のようになる。左図と比較すると随分違った印象を与える。だから、0.7℃/100年という温度上昇率は決して大きくはない。むしろ、温度の変化は明治維新以降、驚くほど安定していると言える。

fig3

Fig.3

 

 

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