大気中のCO2による赤外線吸収は吸収の上限に近い

温度とCO2濃度は相関関係がある。どちらかが卵かニワトリである。19世紀末TyndallArrhenius が提唱して以来、 CO2 が増減して温度が変化するという概念が受け入れられてきた。これを国連組織の IPCC が強く主張するに至り、ほとんどのメディアおよび国の機関が追随するという図式が確立している。しかし、下図で示すように何十万年という長い期間温度が周期的に変わってきたのだから、現代の温暖化もその周期の一過程なのかも知れない。温度は太陽エネルギーの変化等で変わるが、CO2 が自然に周期的に変化してきたとは少々不可解なことである。

a-1
Fig.1 南極のアイスコアサンプルの解析から得られたCO2と温度の変化

現在の CO2 による温暖化の概念は、そもそも 1896年 の Arrhenius による指摘に基づいている。彼により、 CO2 の赤外線吸収の特性とそれによる温暖化の可能性が、論文 (Phil. Mag. 41, 237, 1896) で報告された。

a-2
Fig. 2  Arrheniusの論文

一方、当時の標準教科書、”Physics of the Air” (W. J. Humphreys, 1929, McGraw-Hill) の 564 ページに、温暖化に影響するであろう CO2 の特性がまとめられている。

a-3
Fig. 3 1929年の Humphreys の教科書

この本は以下のように述べる

Tyndall、Arrhenius、Chamberlin などによって提唱されたこの理論は、さまざまな波長の放射に対する二酸化炭素の選択的吸収と量の変動に基づいている。

二酸化炭素は太陽放射よりも地球表面からの赤外線放射を吸収しやすく、温室効果を生ずる。しかし、大気中の二酸化炭素量の変化が地球の温度に与える影響の大きさを正確に言うことはできない。

Schaeferの実験は、大気圧では、長さ 50 cm と200㎝ の二酸化炭素のカラムを比較した時、50㎝ のカラムが吸収に十分であることを示した。

したがって、現在の大気中の二酸化炭素の量を 2 倍または半分にしても、実際に吸収される放射線の総量にはあまり影響しないだろう

さらに、最近のHarde (2014) による研究結果によると、大気(CO2、メタン、オゾンを含む)の Low Wave の電磁波(赤外線領域)吸収は、CO2 の濃度に対して下図のようになると言う。

 a-4

Fig. 4 大気の赤外線領域(LW)の吸収度(Salby の講演スライドより)

CO2 濃度がゼロでもすでに大気の LW の吸収度は約 75% である。大気に大量に含まれる H2O が LW を吸収するのだろう。さらに、現在の 400 ppm の CO2 が 50% 増えて 600 ppm になっても吸収度は約 80% であまり変わらない。従って、今後人為的に CO2 が増えても温度はあまり上昇しないものと思われる上の図は当ブログで今後使われる。

まとめると、

  1. 1896年、Arrhenius が CO2 が温暖化の原因になる可能性を指摘したが、定量的な解釈はされなかった。
  2. 1929年、Humphreys がそれまでの知見を整理して CO2 の温暖化への影響は小さいことを指摘した。
  3. 2014年、Harde が大気の赤外線吸収度を半理論的に考察し、現在の吸収度がほぼ上限に近いことを示した。 

This entry was posted in Uncategorized. Bookmark the permalink.

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>