温室効果は大気とCO2の両方が必要

温室効果がないときの地球の表面温度は約‐18℃である。しかし、実際には約15℃でありその差が温室効果と言われる。気温が15℃というのは、大気の構成成分の窒素と酸素が約15℃に相当する運動エネルギーを持っていることを意味する。因みに、上空ほど大気の密度は小さくなる。従って大気の運動エネルギーは上空ほど小さく、温度は低くなる。

以下NASAのデータをもとに太陽エネルギーバランスを考える。太陽エネルギーの30%は地球で反射され70%が地球圏内に達する。70%のうち19%が雲、水蒸気、エアロゾルを含んだ大気で吸収され、51%が地球表面に達する。51%のうち30%が地球表面を暖めたり、水(海)を蒸発させたりするのに使われる。残りの21%は表面から反射される。反射した電磁波は入射した電磁波よりエネルギーが低く、この場合は赤外線の領域である。21%のうち6%が直接地球圏外へ出てゆく。15%が赤外活性物質に吸収されて大気の運動エネルギーを増加させる

赤外活性物質は、3原子以上からなる分子で、大気の場合多くがH2OそしてCO2がそれに続く。赤外線を吸収してエネルギーが高くなった分子は大気の分子と衝突するなどして大気分子の運動エネルギーを上げる。

 temp_3

S.入射太陽エネルギー: 100%
A.大気によって反射される分:6%
C.雲によって反射される分:20%
D.地球表面で反射される分:4%
R.雲と大気から宇宙空間に放射される分:64%
  B.大気に吸収される分:16%
  F.雲に吸収される分:3%
  G.熱伝導と上昇気流による分:7%
  H.水蒸気の潜熱(蒸発熱)によって雲と大気に運ばれる分:23%
  K.大気に吸収される地球からの放射分:15%
E.地球から直接宇宙空間に放射される分:6%
L.陸と海に吸収される分

従って温室効果ガスと言われるH2OとCO2だけでは地球の温度は変わらないし、大気の主要成分である窒素と酸素だけでも十分暖まらない。大気にH2OとCO2 が含まれていることが必要である。 

下図に大気圏に突入前と突入後の太陽のスペクトルを示す。電磁波が赤外領域でH2OとCO2により吸収されることがわかる。

temp_1
(http://denkou.cdx.jp/Opt/PVC01/PVCF1_4.html)

地球表面から放出される電磁波のスペクトルとの比較は下図で示される。放出される赤外線の青い部分は大気で吸収されずにそのまま出ていく。大気の窓と言われる。大気の窓より波長の長い領域にH2OとCO2の吸収域がある。KiehlとTrenberth は大気の窓から出ていく赤外線を入射光の約10%と見積もっている。上記の地球から直接宇宙空間に直接放射される分6%もほとんどが大気の窓から出て行く量と思われる。その場合は上記のバランスによると、現在以上にCO2が増えてもCO2のさらなる温室効果はないということになる。

fig3
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Atmospheric_Transmission.png

This entry was posted in Uncategorized. Bookmark the permalink.

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>