現代の温暖期は気候最適期

恐竜の時代は手が届きそうにない遠い昔だが、人類が出現した頃となるとどういう時代だったのか考えてみても良さそうである。その時代は第四紀(Quaternary period)と呼ばれる。258 万 8000 年前から現在までの期間で、人類の時代という意味で決められた。ヒト属の出現を基準とし、地質層序や気候変動を併用して決定している。第四紀は、氷河時代とも呼ばれるように気候は寒冷になり、約 70 万年前からは大陸氷河は約 10 万年ごとに拡大縮小を繰り返してきた。氷河期にはヨ-ロッパや北米の大半は厚い氷床に覆われていた。

下図で示すように、北米はローレンタイド氷床 (Laurentide Ice Sheet) で覆われていて、厚さが 2,400–3,000 m のところもあった。以前住んでいたコロンバスはローレンタイド氷床の南端に位置する。コロンバス郊外に氷河公園 (Glacier Ridge Park) と名付けられた所がある。14,000 年前は、氷床で覆われていたという名前の由来の説明書きがある。

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Fig. 1 第四紀のローレンタイド氷床

下はこの公園で日の出を撮った写真である。このブログのタイトル写真も公園内での一コマである。

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Fig.2  コロンバス近郊に Glacier Ridge という公園がある。14,000 年前の氷河期にはこの辺りまで氷床で覆われていた。(9/16/2019)

ベーリング海の名前で知られる、デンマーク生まれのロシアの探検家ベーリング (Vitus Bering) は、ユーラシア大陸とアラスカが陸続きではないことを発見した。ジュノーからアンカレッジの間にベーリング氷河という北米で一番大きい氷河がある。その氷河の端には氷河湖が形成されヴィタス湖と名付けられている。氷河と湖の名はベーリング (Vitus Bering) に因んでいる。

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Fig.3  ジュノーからアンカレッジの間の上空から見えたベーリング氷河と太平洋岸で形成する氷河湖のヴィタス湖  (9/11/2021)

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Fig.4  ベーリング氷河と氷河湖のヴィタス湖の位置

氷河湖のヴィタス湖と同様にローレンタイド氷床の外側には、かって北米大陸北半分の中央に巨大な氷河湖があった。発見者に因んでアガシ― (Agassiz) 湖と名付けられている。最終氷期末に氷が溶けた水が溜められ、現在の五大湖を合わせたよりも広く、また現在世界にある湖水を合わせたよりも多くの水を湛えていたときがあった。氷床が分解すると、その前線に融解水でできた巨大な氷河前縁湖を形成した。最終的には四つの川から水が流れ出し干上がった。

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Fig.5 かって存在した北米大陸のアガシ―湖

第四紀の後半、約 18,000 年前以降温暖化が進み、現在は間氷期にあたる。およそ 7,000 年前から 5,000 年前の間は、第四紀の完新世 (Holocene) であり、暖かい時代であった。気候最温暖期または気候最適期(climatic optimum)と呼ばれている。北極付近では 4℃ 以上上昇した。年平均気温の変化は緯度が高いほど顕著に現れ、基本的に低・中緯度ではあまり変化が無かった。世界平均では、おそらく 20 世紀半ばと比較して 0.5-2℃ 温暖だったと言われている。そして 5,000 年前から 3,500 年前にかけての温暖な時代に四大文明が栄えた。温暖な状態が続いた後は 2,000 年前位までにかけて徐々に気温が低下していった。

以後、西暦 0 年、1,000 年前後の温暖期を経て現代の温暖期を向かえている。現代の温暖期は完新世より気温がやや低いものの、気候最適期と考えられる。気候変動の移り変わりを冷静に考えて、必要非常に不安を煽るべきではないと思われるのだが。

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Fig.6  クルーズ船から撮ったアラスカの氷河 (Glacier Bay National Park, 8/4/2014)

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