嘆願書プロジェクト

01/27/2011

対照実験 (control experiment) とは結果を検証するための比較対象を設定した実験である。科学者は、本来の実験より、対照実験に追われているようなものである。如何に実施するかが、時間の節約の分かれ目となる。


化石燃料で最も重要なものは、埋蔵量から言うと石油ではなく石炭である。石炭は有機溶媒の中ではふやける。これを膨潤と言う。石炭の構造を調べるのに、膨潤の現象は非常に役立つ。石炭から少し溶け出したものが本来の値を大きく変えるという反論が必ずつきまとう。その反論を反論するには、対照実験をする。溶媒に石炭の溶出物を故意に溶かして、添加前後と値が変わらないことを示せば良い。一度論文誌の上で、私の論文に対して論争する直前まで行ったのだが、相手方が対照実験のデータを見て、論争を取り下げてしまった。


「過去 100 年、温度と CO2 濃度が近似的に上昇しているから、地球温暖化は CO2 のせいである。」と小学生でも推論する。その妥当性を対照実験で確認するのが科学である。地球が相手だから実験を行うわけにはいかない。だから関連する地球物理、気象学の膨大なデータを丹念にあたるしかない。温暖化の CO2 説を牛耳っているのは国連の下部組織の IPCC である。しかし、 IPCC の報告書には、その説の確認作業がすっぽり抜けている。 Peer Review のある論文誌では、決して受理されることはない。


さて、Google のサイトでその IPCC の上に N をつけ "NIPCC" で検索すると Nongovernmental International Panel on Climate Change がトップに出てくる。シカゴにある The Heartland Institute という民間機関の一部である。個人、民間機関の寄付で賄われているのだろうか、資金源は良く分からない。CO2 による温暖化説及び IPCC の説に疑問を呈する科学的に最もしっかりした機関である。昨年 (June, 2009)、 Climate Change Reconsidered という報告書を出した。868 ページの大書である。 Amazon では $123 もする。しかし、上記のサイトで、全書を pdf のフォーマットでダウンロードできる。でも、普通の人には読みこなすのは大変である。IPCC の 2007 年の報告 AR4 についてかなりのスペースを割いて科学的に論じる。詳細は別にして、こうした本格的な科学的議論がある。これが正当な科学である。



Petition Project (嘆願書プロジェクト) というのがある。IPCC の説に疑問を呈する科学者の署名を募るプロジェクトである。問題の投げかけとして、Environmental Effects of Increased Atmospheric Carbon Dioxide という 12 ページの論文を出している。れっきとした Peer Reiview のジャーナルに出たものである。こちらの方は、読みやすい。許可があれば全文を訳してもいいぐらいの論文である。


NIPCC の本の最後に、その Petition Project に賛同する人々のリストがある。748-854 ページにかけて大量の名前がリストアップされている。


そのリストを見ると、温暖化の人為説すなわち IPCC 説に疑問を呈する人は決してひとりではないことがわかる。「You'll Never Walk Alone」 である。

 

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